売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する
当期純利益
 当期(2025年4月1日~2026年3月31日)のわが国経済は、企業収益及び雇用環境の改善が続く中、個人消費の持ち直しが見られる等、景気は緩やかに回復しています。一方で、今後の中東情勢や米国の通商政策等の影響には留意が必要な状況です。
 航空業界を取り巻く環境は、中東情勢やウクライナ等の地政学リスクが懸念されるものの、旅客需要は増加しています。
 このような社会・経済情勢の下、航空事業を中心に増収となったことから、売上高は2兆5,392億円(前期比12.3%増)となりました。営業利益は2,174億円(前期比10.6%増)、経常利益は2,196億円(同9.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,690億円(同10.5%増)となりました。
 8月に日本貨物航空株式会社(NCA)の全株式を取得しました。ANAグループの貨物便と旅客便の広範なネットワークを併せ持ったコンビネーションキャリアに、NCAが強みとする日本と欧米を結ぶ大型貨物専用機によるネットワークとノウハウが融合したことで更なる収益の拡大を目指してまいります。
 また、従業員の健康をサポートする取り組み等が評価され、4年連続で「健康経営銘柄」に選定されたほか、国際的な環境評価を手掛ける非営利団体であるCDPより、最高評価の「Aリスト企業」に4年連続で選定されました。今後も人的資本経営を強化しつつ、事業を通じて環境問題等の社会課題解決に取り組み、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

セグメント

航空事業

売上高
営業利益
 旺盛な訪日需要とレジャー需要に支えられ、国際線旅客・国内線旅客ともに堅調に推移したことや、当期において連結子会社となったNCAの収入が加わったこと等により、売上高は前期を上回り2兆3,132億円(前期比12.4%増)となりました。費用面では燃油費や人件費等が増加したものの、売上高が増加したことから、営業利益は2,219億円(前期比11.5%増)となり、前期と比べて増益となりました。
 なお、当社グループは英国SKYTRAX社から顧客満足度で最高評価となる「5スター」に13年連続で認定されました。また、米国の非営利団体APEXから高品質なサービスの提供が評価され、最高評価となる「WORLD CLASS」を2年連続で受賞したほか、英国FlightGlobal社からは優れた経営戦略と顧客体験価値の向上が評価され「Executive Leadership: Asia-Pacific Award」を初受賞しました。
国際線旅客
収入
旅客数
 国際線旅客では、訪日需要や日本発のレジャー需要を積極的に取り込んだこと等により、旅客数、収入ともに前期を上回りました。とりわけ2024年度下期から欧州3路線を新規就航したこと等により、欧州路線が好調に推移しました。
 路線ネットワークでは、10月から成田=香港線、12月から羽田=香港線、成田=パース線、成田=ムンバイ線、本年3月から成田=ブリュッセル線を増便しました。
 営業・サービス面では、効率的な路線計画や乗り継ぎの利便性向上等を目的に、シンガポール航空とジョイントベンチャー(共同事業)契約を締結し、5月から共同運賃の発売を開始しました。また、8月から機内高速インターネットの無料化を一部機材で開始したほか、12月から人気動画配信サービスを導入する等、お客様の快適性向上を図りました。
 本年3月に国際線定期便の就航40周年を迎えました。長年にわたるお客様からのご愛顧に感謝するとともに、今後も安全運航を堅持し、高品質なサービスの提供に努めてまいります。
国内線旅客
収入
旅客数
 国内線旅客では、「ANA SUPER VALUEセール」を継続的に実施し、レジャー需要の喚起と早期取り込みに努めたこと等により、旅客数、収入ともに前期を上回りました。
 路線ネットワークでは、10月から羽田=新千歳線や羽田=福岡線等を増便したことに加え、高需要期を中心に臨時便を設定した一方で、機材の小型化等を実施し、需給適合を推進しました。
 営業・サービス面では、機内Wi-Fiにおいて、6月から動画視聴可能な高速インターネット環境を整え、サービスの拡充に努めたほか、12月から地域創生を訴求する特別デザイン機「ANAふるさとJET」の運航を開始しました。「ふるさとをつなぐ」をコンセプトに自治体との連携を強化し、地方への人流拡大を目指した取り組み等を推進してまいります。
国際線貨物
収入
輸送重量
 国際線貨物では、アジア発北米向け貨物の取り込みを強化したこと等から、輸送重量は前期を上回りましたが、自動車関連やEコマースの需要が減退したこと等により、収入は前期を下回りました。
 路線ネットワークでは、需要動向を見極め、貨物専用機の運航路線や供給量を柔軟に調整したほか、北米路線では他社によるエアラインチャーター便の運航を継続し、収益性の確保に努めました。
NCA
収入
輸送重量
 NCAでは、米国の関税政策による中国発北米向け三国間貨物の需要減退の影響を受けましたが、アジア発欧米向け貨物等の取り込みを強化しました。
 路線ネットワークでは、9月から成田=フランクフルト線を開設したほか、10月から成田=香港線および成田=ロサンゼルス線等において機動的に臨時便を設定し、収益の最大化を図りました。また、10月から欧米路線でANAとのコードシェアを開始しました。
Peach・AirJapan
Peach
収入
旅客数
AirJapan
収入
旅客数
 Peachでは、訪日需要やレジャー需要が堅調に推移したこと等から旅客数、収入ともに前期を上回りました。
 路線ネットワークでは、4月から関西=金浦線、中部=金浦線を新規開設し、8月から両路線ともに増便しました。関西=金浦線においては段階的に増便し、本年2月には1日4往復とする等、ネットワークの拡大に努めました。
 営業・サービス面では、4月にウェブサイトをリニューアルし、予約完了までの手順を短縮しました。また、12月から事前設定により自動でチェックインが完了する「オートチェックイン」機能を新たに導入し、お客様の利便性向上を図りました。

 AirJapanでは、訪日需要を着実に取り込んだことに加え、レジャー需要の喚起を目的にセールを積極的に展開したこと等により、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
 路線ネットワークでは、11月から成田=シンガポール線を増便したほか、年末年始期間に成田=仁川線、本年1月から成田=シンガポール線の期間増便を行いました。
 本年3月をもって、AirJapanブランドを休止し、機材および人財をANAブランドの運航に集約することとしました。今後は、ANAブランドとPeachブランドによるデュアルブランド戦略へと再構築し、グループ全体の収益力・競争力の強化を図ってまいります。
その他
収入
 航空事業におけるその他の収入は1,895億円(前期比5.1%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。

航空関連事業

売上
営業利益
 外国航空会社からの機内食関連業務の受託が増加したほか、国際貨物の取扱高が拡大したこと等により、売上高は3,616億円(前期比7.2%増)となったものの、人件費等が増加したことから、営業利益は14億円(同63.9%減)となりました。

旅行事業

売上
営業利益
 海外旅行については、ハワイやヨーロッパ方面を中心に需要を取り込んだことにより、取扱高が増加しました。国内旅行については、「ANAトラベラーズホテル」等の素材販売は好調に推移したものの、主力のダイナミックパッケージ商品の集客が伸び悩んだこと等から、取扱高は減少しました。
 また、新たなインフラサービスとなる「ANAガス」やモバイル通信サービス「ANAモバイル」を開始しました。日常生活の中でマイルを貯めやすくすることで、より利便性の高いマイルサービスの拡充に取り組みました。

商社事業

売上
営業利益
 大阪・関西万博の開催効果により、観光土産品卸売「FUJISEY」が好調に推移したほか、物流会社向けセキュリティ機器関連や半導体関連の電子事業の取扱高が増加したこと等により、売上高・営業利益ともに前期を上回りました。

その他

売上
営業利益
 建物・施設の保守管理事業や不動産関連事業において取扱高が増加したこと等から、売上高・営業利益ともに前期を上回りました。

財政状態

 資産の部は、NCAグループ化に伴う航空機の増加等により、前期末に比べて3,348億円増加し、3兆9,551億円となりました。
 負債の部は、劣後特約付シンジケートローン(以下、「劣後ローン」という。)の返済による借入金の減少等により、前期末に比べて277億円減少し、2兆4,524億円となりました。なお、有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)は、前期末に比べて1,773億円減少し、1兆1,717億円となりました。
 純資産の部は、配当金の支払いがあった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、成長投資資金の確保や資本構成の最適化を目的とした第1回社債型種類株式を発行したこと等により、前期末に比べて3,625億円増加し、1兆5,026億円となりました。この結果、自己資本比率は37.7%となりました。

キャッシュ・フロー

 営業活動においては、当期の税金等調整前当期純利益2,235億円に、減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行ったこと等から、4,434億円の収入となりました。
 投資活動においては、有価証券の取得や設備投資による支出等により、4,152億円の支出となりました。これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは282億円の収入となりました。
 財務活動においては、配当金の支払いや社債の償還、借入金の返済による支出があったこと等から、1,593億円の支出となりました。
 その他、NCAのグループ化等により現金及び現金同等物が14億円増加しました。
 以上の結果、現金及び現金同等物は、前期末に比べて1,263億円減少し、7,363億円となりました。

連結業績予想などの将来予測情報

 中東情勢については、足元で燃油価格が高騰していますが、第1四半期末に収束することを前提とし、第2四半期から下期にかけて、情勢悪化前の水準まで徐々に低下することを想定しています。
 以上のことから、現時点における2027年3月期の連結業績の見通しは、売上高2兆7,700億円(前期比9.1%増)、営業利益1,500億円(同31.0%減)、経常利益1,370億円(同37.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益960億円(同43.2%減)を見込んでいます。
 なお、算出にあたり、米ドル円為替レートは155円、航空燃油費の一指標であるドバイ原油の市場価格は1バレルあたり、第1四半期で130米ドル、第2四半期で100米ドル、下期で75米ドルとしています。また、シンガポール・ケロシンは1バレルあたり、第1四半期で200米ドル、第2四半期で120米ドル、下期で90米ドルとしています。
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